中国軍事力に関する年次報告書2005年07月20日 17時20分44秒

米国防省は19日中国軍事力に関する年次報告書を発表。本報告書は議会に提出が義務付けられている。要旨は以下のとおり。

1 中国の軍拡路線は長期的に見て、地域軍を展開する国々に対する「確かな脅威」になる

2 中国の経済成長、外交上の影響力の拡大、軍事力の増強によって中台の軍事均衡は中国側に傾きつつある。(台湾の対岸に短距離ミサイル650~730基を配備し、年間100基ペースで増強)

3 アジア太平洋地域で米国を排除するような地域の機構に向けた外交を繰り広げている

4 中国の国防費の実態が公表額とかけ離れている。公表額には武器の輸入費用、人民武装警察の支出、軍関係の研究開発費用等が含まれていない

5 エネルギー資源確保のため中東、アフリカ、中南米などに接近。東シナ海の天然ガス田の開発をめぐる摩擦が日中関係の悪化の一因になっており、エネルギー資源確保が中国の戦略に影響を与えている

6 その他、旧式の戦闘機を無人機に改良したり、新型の大陸間弾道ミサイルや衛星攻撃兵器の開発なども実施している。

米印関係の緊密化2005年07月05日 15時55分45秒

6月25日から訪米中のムカジー印国防相は、6月28日ラムズフェルト米国防長官と「米印防衛関係の新たな枠組み」(New Framework for free flow of commerce)に関する文書に署名

本文書は今後10年間の米印防衛関係での協力の枠組みを定めるもので、兵器の共同生産、ミサイル防衛での協力、軍事技術の開発協力などで防衛関係を強化するもの

このほか、新たに「防衛調達生産グループ」(Defense Procurement and Production Group)を設置することで合意。また、軍事部門の研究開発で更なる協力強化のため、「研究開発、実験、評価」で協力する協定に署名

更に、印海軍の空母搭乗パイロットの訓練を米海軍が実施することを承認する文書にも署名し、両国の軍事関係の更なる強化に合意

今回の緊密化には、中国の経済発展に伴う軍事力近代化が背景にあり、近年、インドは米国と政治・経済・軍事での協力関係を急速に拡大

2003年ハイテク貿易における協議が進展、 2004年1月「戦略的パートナーシップにおける次なるステップ(NSSP)」を発表し民生用の原子力活動、宇宙活動、ハイテク貿易に関する協力拡大とミサイル防衛に関する対話拡大に両首脳合意、2004年9月戦略的パートナーシップの一層の発展を合意、 2005年3月ライス国務長官が訪印し、戦略対話の実施、防衛協力の拡大、原子力エネルギーを含むエネルギー対話、宇宙に関する作業部会の設置で合意

一方、インドは2005年4月、中国と「平和と繁栄のための戦略的パートナーシップ」を結ぶことで合意、バランス外交を意図

インドは2012年の空母2隻体制を目指して整備中であるが、今回、空母搭乗パイロットの米国での訓練合意はインド海軍のインド洋でのプレゼンス拡大に米国の影響が及ぶことを否定し得ない

「米国とインドは新たな時代を迎えた」「米国とインドは民主主義と国益を共有しており米印関係は変化した」と両国防首脳が署名後の声明で述べたことは象徴的

JWS:Joint Warfighting Space 構想2005年06月24日 13時11分28秒

米空軍が推進中のJWS:Joint Warfighting Space 構想 の概要は以下のとおり。

1 紛争発生時、指揮官の要求に即応して安価な全天候小型打ち上げロケットで小型モジュール戦術衛星を迅速、軽易に打ち上げ、作戦を支援。これによりORS:Operationally Responsive Space能力を確保

2 本構想の背景には二つあり、イラク戦争において継続的C4ISR能力が不足していたことと、米国自体が軍事のみならず、社会生活においても衛星に過度に依存しすぎ、きわめて脆弱性を有していることがある

3 現在、先進構想技術実証(ACTD)計画予算を使い構想実証衛星の1号機が開発されている。構想の実現は2010年までを目指す

4 打ち上げシステムは、空軍が開発中でARES:Affordable Responsive Spaceliftと呼ばれ、2010年までに飛行試験を開始し、2018年の実用化を目指す。ロケットは2段式で1段目はジェットエンジンで基地に帰還、着陸し24~48時間後の次の打ち上げに再使用される

砲兵UA(Unit of Action)創設2005年06月21日 11時13分39秒

在韓米軍は6月16日、キャンプ・スタンリーに砲兵UA(Unit of Action)を創設

1 構成は、2個のMLRS部隊、旅団支援大隊、通信大隊からなる。総員1500名規模

2 この改編により、第2師団はHBCT(Heavy Brigade Combat Team)UA, MFAB(Multifunctional Combat Team)UAと砲兵UAの計2個UAからなる「未来型師団」:UEx(Unit of Employment-x)となる。

3 第2師団の改編は事実上完了。今年末に実施されるウルチ・フォーカスレンズ演習で指揮統制能力をテストする予定。

米陸軍改編関連2005年06月20日 17時24分41秒

米陸軍は米軍改編の一環として、在韓米軍に2個UA(Unit of Action)創設

1 2師団は6月14日および16日に2個UAを創設

2 キャンプ・ケーシーに第1旅団を母体としたHBCT:Heavy Brigade Combat TeamのUAを創設(6月14日)

 構成は、戦車大隊、機甲捜索大隊、砲兵大隊、歩兵大隊、通信・憲兵・情報大隊、支援大隊、韓国労務者大隊、旅団本部中隊からなる。指揮官は大佐

3 キャンプ・ハンフリーにMFAB:Multifunctional Aviation BrigadeのUAを創設(6月16日)

 24機のアパッチ・へり攻撃大隊2個、30機のUH60強襲大隊、野戦整備大隊、管制大隊、航空支援大隊から構成

CONPLAN8022-02について2005年05月20日 11時11分33秒

5月15日、ワシントンポストは米軍CONPLAN8022について報道

CONPLAN8022ー02は11月に策定され、イランと北朝鮮に対する構成的な先制攻撃を含むもの

本計画は概念計画。小規模作戦であり「地上作戦」を含まない点で他の作戦計画とは異なる

核脅威への対応として、ピンポイント爆撃を電子戦やサイバー攻撃と組み合わせて行う。また核装置確保のため敵地深奥で作戦を行う特殊作戦も併用される可能性あり。

地下施設破壊のため、要すれば核の選択肢を含め、特殊な地下貫通爆弾が含まれている模様

米国議員団訪朝の可能性2005年05月20日 11時06分56秒

5月18日、米国国務省バウチャー報道官は定例ブリーフィングで米国議員団の訪朝について言及

上記が六者会合再開の明るい兆候になるかは不明

米国内基地再編・閉鎖に関する米国防省提言2005年05月17日 11時36分20秒

米国防省は、5月13日、米国内基地再編・閉鎖に関する報告書をBRAC委員会に提出

概要

 主要基地閉鎖33(陸軍14、海軍9、空軍10)

 主要基地再編29(陸軍5、海軍11、空軍10、その他3)

 その他の基地再編・閉鎖775

 増強基地49(陸軍18、海軍14、空軍14、その他3)

 ※再編:400人以上の人員削減、 増強:400人以上の人員増加

   約1万8千人のシビリアンのポストが削減  推定費用244億ドル  今後20年間で約490億ドル節約見込み(海外基地見直しとあわせて約642億ドル節約見込み)

米海外基地見直し委員会報告書2005年05月17日 10時55分17秒

米海外基地見直し委員会は、5月9日、大統領および議会に報告書を提出

要旨(日本関連)

 日本は「ハイテク」地域リーダーである強力な同盟国で依然経済大国

 FIPによる米国支援は防衛庁予算の8%

 1996年合意のSACOは何一つとして未達成

 沖縄は、東アジアにおける作戦能力を確保する上での戦略的要衝

 沖縄での戦闘能力低下は、東アジアでの米国国益に重大なリスク

 普天間基地に所在する海兵隊部隊の嘉手納/岩国基地への移転

 他の在沖海兵隊の駐留継続

 座間への陸軍戦闘司令部移転(未決定)

 海外基地再編に要する費用90~120億ドル(200億ドル要する可能性有)

 2011年まで40億ドルのみ予算化→トランスフォーメーション予算の削減

米国補正予算の成立2005年05月16日 15時44分35秒

2005年5月11日、ブッシュ大統領lは米議会が可決した820億ドルに上るFY05補正予算案に署名し、法案は成立

FY05全体で1072億ドル計上  この内、国防費は759億ドル(92%)